クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 会話もあまりないまま、車は並木道に接しているマンションへ到着した。

 ロイヤルライフ星が丘を見慣れているといっても、間近でタワーマンションを見上げれば心臓はびくつく。

 地上十五階建てで、遥人さんの部屋は十二階に位置するそうだ。2LDKの部屋の中に入ってみれば、そこまで圧倒される感じではない。

 白壁にブラウンの床色は温かみがあって馴染みやすかった。アイランドキッチンのあるリビングと、寝室と書斎の二部屋あると説明を受けたけれど、玄関を上がってそのまま寝室に直行したので内容が頭に入ってこない。

「あのっ」

 気が急くあまり、少し怖い顔になっている遥人さんのシャツを引っ張る。

「このまま、するんですか?」

 最終確認のつもりで尋ねたのだが、遥人さんは我に返ったように動きを止めた。

「……すまない。がっつきすぎた」

 遥人さんの声が寝室にぽつんと落ちる。

「そうじゃなくて」

 私に人並みの経験があったら、遥人さんにこんな顔をさせなくて済んだのに。自分の言動を情けなく感じながら言葉を続ける。

「私、すごく汗をかいていて」

 私の言わんとすることが分かったらしい遥人さんは、ホッとしたように目尻を下げた。
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