クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
「もういいだろう。雑談したいだけなら切っていい? いちいち口にしなくても分かると思うけど、俺は忙しいんだ」

 嫌味をこぼすと、陸はすっと声色を変えた。

『じゃあ、仕事の話題をひとつ』

 真剣さを帯びた口調に、なんだろうと意識が向く。

『数ヶ月後……俺としては半年以内にまとめたい案件なんだけど。アメリカの有名ファッションブランドの、クレアとコラボしようと考えている』

「あの、クレアか?」

 背もたれに預けていた身体を起こして足を組んだ。

 兄の陸が社長、弟の俺が副社長を務める『HOSHO&CO(ホウショウアンドカンパニー)』は、ウエディングドレスやフォーマルウェアなどの企画製造、販売を行っている。

 元は父親が立ち上げた会社だったが、軌道に乗って俺たち兄弟が跡を継げると分かるや否や、他にやりたいことがあると言って父親はあっさり退任した。

 父親が担っていた海外での業務を陸が引き受け、俺は日本で会社の基盤を固めている。
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