クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 これまで陸とふたりで分担していたものを、いきなりひとりで捌かなくてはいけなくなり忙しい。

 もちろんそれは陸も同じで。

 愛する家族、伶香と結愛と離れて過ごす時間が増え、フラストレーションが溜まっているはずだ。

 だからって俺を弄って、ストレス発散するのはいただけないが。

 白峰さんと初めて会った日。あの日は陸が、結愛を連れてロイヤルライフ星が丘を訪れる予定だった。しかし陸が急遽海外に渡らなければならなくなり、代わりに俺が駆り出された。

 伶香は妊娠三ヶ月になろうとしている。つわりの影響で体調がよくないし、暑い中電車を利用しての移動は辛いだろう。

 行くのをやめようかという話も出たが、ばあさんが結愛に会いたがっているので、その楽しみを奪うのは気が引けた。

 結果として、そのおかげで白峰さんと出会えたからよかったんだけれど。

『ずっと前からオファーしていたんだが、ようやくいい返事をもらえた』

「すごいな」

『俺を誰だと思っている』

 電話の向こう側でしているであろう、陸のしたり顔が瞼に浮かんで苦笑する。
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