褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
香りに癒やされながら帰宅。
あれ? 靴がある。誰か来てるの?
「あ、おかえり」
「おかえり実玖ちゃん! お邪魔してます!」
リビングのドアを開けると、椅子に座って兄と一緒に昼食を食べている西尾先輩が目に飛び込んできた。
なんで先輩がここに⁉
今日、誰か来るって何も聞かされてないんだけど……⁉
「突っ立ってないで早く来いよ。飯、実玖の分もあるぞ」
「う、うん」
荷物をソファーに置き、キッチンからラップがかかったご飯とスープをおぼんに乗せてテーブルに運ぶ。
前回はお菓子を一緒に食べたけど、今回はお昼ご飯か……ちょっと緊張する。
「お母さんは?」
「俺らの飯作ってから買い物に行った。10分くらい前だったかな」
「そう……」
兄の隣に座り、箸を持って茶碗を持ち上げると。
「実玖……お前、香水つけてる?」
「へ? あ、香水じゃなくて、フレグランスミストならつけてるよ」
「うわっ! 甘っ!」
険しい顔をしている兄にミストを吹きかけた手首を見せると、口と鼻を手で押さえて睨まれた。