友達以上恋人未満~これを愛というならside story~
どれくらい寝たんだろうか………

着信音が鳴り響いて、瞼を開けて。

寝転がったままテーブルのスマホに手を伸ばすと。

ん?梓か………

とりあえず電話に出て、掛け時計を見ると日付が変わる20分前。


「……どうした?」


寝てた?と訊いてきた梓に、寝てたんだけど。

梓なら切るだろうなと思うと、うとうとしてた、と答えていたけれど。

気を回したんだろう、明日かけ直す。


「別に構わない。話したいことあったんだろ、今。言えよ?」


大体の予想はつくけれど、聞いてあげたかった。

予想通りの答えに、一番に蓮に伝えたかった、と。

咥えていた煙草に火を点けて、

嬉しいけどな、と一息ついて素直に口にすると。


会いたい。


これは……予想外だった。

頑張ったなって、頭を撫でてやりたい。

だから、俺も会いたい。


そう伝えようとした時、電話越しに電車の発車音がした。


慌てて、煙草を消して。

そこを動くなよ!

うん、と答えた梓にそう伝えていて。

ルームウェアのまま家を飛び出していた。




駅の壁に背中を預けて、しゃがんでいる梓を見つけた時ーーー。

寂しそうで、不安そうで。


愛おしい、守りたい。


こんなことを思ったことは、今までになかった。

ずっと忘れられずに、引きずっていた早織さんにもだ。

俺は………梓を好きなんだ!
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