友達以上恋人未満~これを愛というならside story~
翌朝、冷蔵庫の中身を確認して。

有り合わせで朝飯を作りながら、甘い卵焼きを作ってやろう。

お祖母ちゃんの思い出の味だと、いつだか言ってたから。

それを梓は、美味しいと涙を流しながら食べてくれた。

確かに、甘いけど旨いな。



梓が偵察に行きたいと言い出した、結婚式場。

プロポーズの言葉は?と訊かれて。

迷うことなく、昨日の夜に思ったままを口にしていた。

梓は顔を赤くしていて、可愛いな。

気付いてんのか?俺の気持ちに。

いや……気付いてねぇな……

照れてるだけだよな?

そんなことをわざわざ聞かずに、名演技だな。


夜飯に梓が、明太子パスタ食べたい、と。


「最近は賄いで作ってなかったな。作ってやるよ」


「嬉しい!蓮の明太子パスタが一番好き!」


はしゃぎながら、腕を絡ませて見上げてくる梓を見ると笑顔になる。


帰ってから、キッチンに立っていると梓の視線を感じて、わざと。

なんだよ?

視線を下に向けた梓が可愛いくて、笑みが溢れて、

見とれてた?

図星だったか。

別に、なんて答えやがって。

可愛い、とフライパンに視線を戻す。

思わず口にしてしまったせいで、俺の顔はきっと赤い。

見せられるかよ、こんな顔。


その夜も、今さら照れんなよ、と強引に一緒にお風呂に入って。

また梓と身体を繋げる。


このタイミングで、好きだって言っても信じて貰えねぇよな。

それで、梓を失う方が堪える。

だったら……このままでもいいか。

いつか、ちゃんと言うタイミングがあるだろうから、その時にな。


だから、、、梓。

高ぶってきて、名前を呼ぶと。

背中に柔らかく爪を立てて、蓮。

もう堪らねぇよな。

梓の中が一瞬溶けて、俺の形に合わせて形を変える感覚。
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