白+紅=蒼
「えーーーーーーー!?」

その言葉に私の叫び声はクラス全体に響いた。





皆が何事かといった様子でこちらを見る。





「あ、ご、ごめんなさい!!気にしないで!!」

焦りながら皆に謝る私。





紅に荷物を届けるために2回ほどバスケ部が練習中の体育館に行ったことはあるが全く記憶にない。





「全然知らなかった!!」





「まぁどっちかって言うと白も少しだけブラコンあるもんね」

笑いながら言う美乃





「え!?私が!?」
「マジで!?」

私と紅の声がハモる。





「だって白ってば何処に行っても紅ばかり探してない?」





「そ、それはいつも一緒にいるからつい……」





「どーせバスケ部見に行っても紅の姿しか見えなかったんでしょ?」





た、確かに紅の姿を探すのが当たり前になっているような気がする。





「もう白ってば言ってくれたらお兄ちゃんもっと一緒にいるのに~」

私を抱き締める紅





それだけで教室内で悲鳴が上がる。





「うん、分かった。これからはどんどん紅と廉以外の男子にも話しかけよう」

抱き締めてきた紅を引き剥がしながら言うと紅は本気で涙目になる。





「いや、マジでそれだけはやめてー!!」

タイミングよくチャイムが鳴り紅は廉に引きずられながら自分の席に戻っていった。





いつ彼が来るのかドキドキしながら授業を受けている私。








あれ?なんでこんなにドキドキしてるんだろう……






理由が分からないまま昼休みになってしまった。






背伸びをしてお弁当箱を取り出す。





「美乃、俺ら飲み物買ってくるけど何にする?」

自分の机から言う紅。





「じゃぁ今日はレインボーコーヒーにする」





「おう!」

紅と廉が何かを言い合いながら教室を出ていく。





紅は私に飲み物を聞くことがないし、私が買うときも紅に聞くことはない。

お互いに何が飲みたいかが分かっているから。





「……さ、里中!」





突然名前を呼ばれて振り向けば同じクラスの田本君が顔を赤めて立っていた。





「田本君どうしたの?」

呼ばれたことを不思議に思い首をかしげる。





「あの…じ、実は…」





「あれ、田本~?どうしたー?」





田本君が何かを決心したようにグッと顔をあげるのと紅の声がしたのは同時だった。





紅は満面の笑顔で田本君の顔を覗き込む。





「あれ、紅?もう買ってきたの?」美乃





「財布忘れてさー」

そう言って田本君の肩に手を置く。





「で?どうしたの?田本?」





「い、いや~~。な、何でもないです……」



先程まで私を見ていた田本君がそそくさと教室を出ていった。





「え?田本君なんだったんだろ?」

訳がわからず呆然としていると紅がポンポンと頭を撫でて財布を持って出ていった。





「?何だったの?」美乃に聞くと




「さぁ?」

美乃は苦笑いして肩を竦めるだけだった。
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