悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
 双子はなぜだか人の姿でわたしの後ろをついてくる。
 わたしはなるべく後ろを気にしないようにしながらひたすらに歩いた。

 道中考えることは山ほどあるし。
 一番に考えることはこの後のこと。

 なにせフェイルとファーナがわたしのことを拾ってきたおかげで当初の予定がだいぶ狂った。

 わたしの立てた計画はこうだった。
 死んだふりをして埋葬すると装い、買収した使用人によってわたしは国境近くの村へと運ばれる。棺の中には当座の軍敷金として首飾りなどの宝飾品を忍ばせてあった。

 さすがに身一つで公爵家を飛び出すほど無謀ではない。
 先立つものが無いと色々と大変だからね。

 その当座の軍資金が無いのが地味に痛い。今この身にあるのは自分の身体とレイアたちから貰った服と、簡易天幕とかの山歩きの道具。せめてなにか、ネックレスとかブレスレットとかつけていればよかったのに。

 最悪、髪の毛切って売れるかな。ほら、若草物語でもあったじゃない。髪の毛切って売ってお金を作ったっていうあのエピソード。あれ、わたしでもできるかな。赤毛って需要あるのかな。金髪に生まれたかった……。

 頭の中でせわしなく今後のことを考えながらせっせと森の中を進んで行く。
 しかし、道なき道のせいで思うように進めない。

「ねー。運んであげようか?」

 これはフェイルの声。どこか期待に満ちている。
 いや、間に合ってます。

「自分の足で歩けるから大丈夫」
「でも、ちょっと大変そうだよ」

 まあたしかに道なんてないからね。下草とかめっちゃ生えているしね。さっきから地味に歩きにくいけどね。

「あ、そうだわ。いいこと考えた」

 弾んだ声を出したのは傍らのファーナ。
 そう言って彼女は手をかざした。

「えいやぁぁ」

 どこかのおっさんの掛け声みたいな声と共に彼女は魔法を繰り出した。
 その掛け声どうなの。って突っ込む暇もなかった。わたしは次の瞬間「きゃぁぁぁ!」と叫んだ。
 何しろ彼女はビームのような光を出して、一直線に植物を焼き払ったから。

「あ。ファーナやるじゃん。僕もする」
 フェイルまで同じようにビームを繰り出した。

「ちょっと! どこまで焼き払うつもりなのっ!」

 慌てたわたしの声もなんのその。二人は小さな胸を反らした。

「えへん。これで歩きやすくなったよ」
「いやそうだけどね。違うでしょ。こんな森の中でどこにビーム出す人がいるのよ」

「ビーム?」
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