君と私で、恋になるまで

◻︎




「…ニヤケすぎ。」

「これがニヤけずにいられますか!?」




会社から歩いて一駅くらいの距離の、個人経営の居酒屋は内装の壁に手書きメニューが沢山乱雑に貼られているような、そんな場所。


研修の最後、号泣を見せた私は、本配属も決まって心も体も漸く落ち着いてきた頃に瀬尾に「お礼をさせていただきます」と言った。


「忘れてると思ってた」なんてやっぱり気怠げな雰囲気のまま笑った瀬尾は、今ではすっかり行きつけの
安くて美味しい、会社の人と会うことも少ないこの場所を教えてくれた。



仕事終わりになんとなく現地集合する私達は、一杯目はビール。そのあとは大体ハイボールかレモンサワー。

そしておつまみの一品目は、私が好きなクリームチーズの味噌漬けだ。



お決まりの品揃えに、
いつもの同じ店内右奥の2人席。




____向かい合う私達は、

この3年間、ずっとこの距離のままだ。


< 14 / 314 >

この作品をシェア

pagetop