君と私で、恋になるまで






「ほんと、親の仇みたいな形相でコンペしてたもんな。」


「……ねえ真剣な表情って言ってくれる?」


目の前で、綺麗な細い指で枝豆を摘みながら笑う瀬尾は、社内にいる時よりよく笑う気がする。

…いや、今のは馬鹿にされただけだけど。


「すごい緊張してたし。」

「初めてこんな大きい案件任せてもらったんだから当然だよ…

しかも営業だけじゃなくて、設計からデザイナーから現場管理から、色んな人と一緒に作った案件だよ、責任重大すぎだよ…本当によかった……」


泣き上戸では無いつもりだけど、全然今すぐ涙が出そうだ。







オフィスを大幅にリニューアルしたいという、とある依頼が舞い込んで、一早く名乗りを上げたのが確か1ヶ月前。


先方から他社との比較で決めたいと言われ、そのままコンペの準備になった。

他の部を巻き込んでの初プロジェクトリーダーに抜擢された私は、最初のミーティング開始前、ガチガチに緊張していた。



「顔かたすぎ、敵じゃ無いから俺らは。」

「!?」

待機していた会議室に悪戯な笑みを浮かべて入ってきた瀬尾は、そう言った。

瀬尾も、空間のデザインに携わる1人としてこのプロジェクトに駆り出されていたのだ。


なんで黙ってたの!?と、打ち合わせ後に問い詰めると枡川の面白い顔が見たくてとのらりくらり言ってくれて殴りたくなったけれど。



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