君と私で、恋になるまで





「…先方の希望のために、って相当営業さんには無理させられましたからね。」

「ぐ。その節は大変お世話になりまして…」


頬杖をついてやはり楽しそうに回顧する瀬尾と一緒に仕事をした期間は凄く大変だけど楽しかった。


コンペの〆切が近づくにつれて疲労もピークだったけど、残業で夜ご飯を食べ損ねている私を見兼ねて差し入れをくれたり、ミスで凹んだら飲みに行くぞって声をかけてくれたり。

同期のよしみって、凄いなあなんて、私は自分の立ち位置がいかに恵まれているのかを感じた。



「まあ、よかったな、おめでと。」

「ありがとう。この恩、ぜったい忘れへんで…」

「お前酔ってるだろ。」


「御社にてお願いします」という電話が、現場に立ち会っていた時に入って私はその場で思わずガッツポーズしてしまった。


そうして、今日も今日とて飲む約束をしていた瀬尾に開口一番報告をした。


瀬尾も結果は先に会社で聞いていたようだったけど、目を優しく細めて笑ってくれる、その姿に胸がきゅ、と掴まれた。








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