君と私で、恋になるまで
「枡川ちょっと顔赤過ぎ、もうタコだよそれはお前。」
「え、そう?飲み過ぎたんじゃない!?」
あんたのせいだよ!と言いたい気持ちを抑えたらなんだか他人事な返答になってしまった。
「そんな顔で電車乗られたら、面白くて困る。」
「……これは喧嘩を売られている?」
そちらがその気なら買うのだが、と眉を潜める私を無視して瀬尾は綺麗に笑う。
「ちょっと、酔い覚そ。」
そんな可愛い感じで言われたら私は拒否できる訳がない。悔しい。
急になに?
だって、23時のいつものタイムリミットは?
頭にいくつものはてなマークを浮かべている私を他所に、瀬尾は少し強引に腕を引いて、いつものお互いの駅とはまた違う方向へ進んでいく。
「ど、どこいくの…!」
焦った声でそう尋ねる私に、んー、どうしよう、とゆるく話す男は何故か少し楽しそうにも見えて。
全然、分からない。
この男のことが分からない…!
なのに当然のように心拍数が上がっている自分はなんて簡単なんだろう。