君と私で、恋になるまで
突然口を開いて言われた言葉に、真っ直ぐ松奈さんの顔を見つめる。
「……嫌でしょう普通。
あんな風に初対面で言われて。
担当を避けることも、できたでしょう?」
できたと思う。
部長に言えば、誰かに言えば、
それ以前に、一樹に断っていれば。
「そうですね。
でも、それは松奈さんもでは無いですか…?」
ドキドキと、心臓が急いで走っている。
__嗚呼、私、今すごく緊張している。
そんなことは十分過ぎるほどに分かっていたと思ったけれど、痛く響く鼓動が改めて私に知らせてきていた。
「…私が明野さんと知り合いだと言うこともご存知になって、こうしてご挨拶に伺う確率が高いと、勿論考えられたと思います。
…弊社では無い、他の会社へ依頼することもできた筈です。それでも、うちを選んでくださいました。」
「……明野さんから聞いた時は驚きましたけど。
でもあの日、ブースで色んな企業さんを回って、うちの要望なら〇〇さんに依頼するのが最適だと、そう思ったからです。後から調べたら、デザイン性も高いですが家具の品質も良いと評判でした。」
「ありがとうございます。
だからです。きっとこの案件に真剣に向き合われている方だから、私も、頑張りたいと。
…逃げ腰の恥ずかしい姿勢を、意地でも見せたく無いと思ってしまいました。」
綺麗事でも頑張りたいって、
ちょっと無理しても、見栄張っても。
例えばその後に、躓いたり転んだりしても。
____私は、そういう全力の自分を、
見てほしい人が居る。