君と私で、恋になるまで
「枡川さんのその力は、何処から湧いてくるんですか。
遣り甲斐だとか、生き甲斐だとか、そういう類いのものですか。
…この仕事で傷ついたことは無いですか。」
淡々と、ぶつけられるなんてものでは無くて、ただ静かに私に向かう疑問を自分の中で咀嚼する。
___"女性だから"
それを松奈さんに言われた時、私は1つだけ思い出したことがあった。
香月さんの会社のコンペを勝ち取って、チームリーダーになって、通いづめて打ち合わせをしていた頃。
"…うちの香月と親密なご関係っていうのはやっぱり本当ですか?"
あの何気ない言葉は紛れもなく、私が女だから受けた言葉だ。
傷つかなかったことが、無いわけではない。
「パンフレットで紹介しているような大きな案件を手掛けたことは、私にはまだありません。
経験不足で、これが自分の実績です、そうお伝えできるものも少ないです。
……でも、自分の中で、積み上げてきたものは、確かにあります。」
営業は、数字が当然大切で。
一人ひとりに課せられた予算を意識せずに仕事は出来ない。
だけど、この3年間で得たのは、
そこへ向かう方法だけじゃない。