君と私で、恋になるまで
1年目の、営業部へ配属されて直ぐの頃。
建設会社の小さな事務所のリニューアルを先輩と一緒に担当した。
圧倒的に男性社員が多い中で、端に追いやられたような女子トイレの中に、一人ひとりが1段ずつ使えるような小さめの棚を手配しておけ。
先輩に突然仕事をぶん投げられて「おい!!!」と叫びたくなったのを覚えている。
初めてで、発注も搬入もてんやわんやで。
だけど工事が終わって最後の挨拶に行った時。
"毎月ね、生理用品入ったポーチを持って移動するとか、結構人目が気になって嫌で、面倒で。
色々収納しておけるこの棚は、女子の間でしか共有できないけど凄く嬉しいです。"
事務職の、私と同い年くらいの女性がそう言ってくれた。
2年目の、秋頃。
名前もよく聞く有名なスポーツ用品のメーカーから、オフィスのデスクを全て取り替えたいという依頼があった。
スタイリッシュで、だけど広々と使える机を、担当の方と何度も何度も打ち合わせをして漸く決定した。
初めて経験する発注台数にも、配送の手続きにも、間違えたら死ねるこれは、と手が震えたけれど。
搬入を終えたオフィスを見た社員の方々が、
"なんかテンションあがる〜!アイディア出せそうだわ。"
そう笑って、新しいデスクを撫でてくれた。
こんな些細で何気無いことは、大々的にパンフレットに掲載されたりはしない。
だけど多分、私は一生忘れられない。