君と私で、恋になるまで
仕事を終えた後の完成図だけでは見えないことが、沢山あるから。
失敗して、怒られて死ぬほど凹んで、たまに隠れて泣いて。
だけど同期とビールを飲んでおつまみ食べたら、ちょっと元気は湧いたりして。
その過程を含めて得た、
経験の全てを糧にしていたい。
「今までいただいた言葉を積み重ねていけば、いつかはもしかしたら、遣り甲斐とか生き甲斐とか、そういう格好良いことを言えるようになる、かもしれません……
今の私ではまだまだ、到底難しいです。
それでも、どうか、頑張らせていただけないでしょうか。」
私に言える精一杯を言葉に乗せたけど、声がどうしたって震えてしまう。
自分の気持ちを吐露するのは、どんな時だって難儀だなあと思う。
逸らされない視線に、ふう、と奥行きのある息を吐き出した松奈さんは重い口を開いた。
「……枡川さんは、今、オフィスのリニューアルも担当されているんですよね。」
「……え?」
「パンフレットや書類を事前にお送りいただいた時に、この資料が一緒に入ってました。」
松奈さんはそう言って、閉じられたノートパソコンの上に置いてあったクリアファイルから、徐に紙を抜き取った。
そして私の前へ、そっと机に滑らせるように差し出す。