君と私で、恋になるまで




和らいだと感じた空気の中、勢いよく告げつつ今日準備していたデータをパソコンで操作しようとすると、


「…お打ち合わせの終了時刻が迫っていますので今日はここで。」

「…………はい。」


通常運転が過ぎる、冷静な松奈さんにすっかり戻ってしまわれた。

まだまだきっと前途多難だな、と思いながらも席を立つ準備をしていた時。


「ですから次回、よろしくお願いします。」


何気ない声で告げられたそれに、私は彼を再び見つめた。


「…承知しました。

"次回"、もっと準備をしてお伺いします。」


恐る恐る、丁寧に返事をした私の言葉に笑ってくれるわけでも、強く肯いてくれるわけでも無い。



でも、よろしくお願いします、と、当然のように返事が返ってきて、それだけで充分に安心できた。



勝手に封入物の中にリーフレットなんて混ぜて送っていたあの気怠い男に、どうしようもなく会いたくなった。



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