君と私で、恋になるまで




昨日とは打って変わって、今日のランチは、広い座敷にローテーブルがいくつか並んでいる雰囲気のある定食屋さん。

メッセージを送ってすぐ緊急招集を受けた私は、目の前の亜子が何を言い出すかハラハラしっ放しだ。


このままでは"ハレンチOL"の名が広まって外ランチに行けるお店が無くなってしまう。



「あのね、もはや夜の人気の無い公園で男女2人で居て何も起こらない方がハレンチだわ馬鹿。」



と、謎の理論を説明する亜子は堂々とし過ぎてあれもしかしてそうなのか?と言う気がしてくるから危険だ。



「…何も無かった、って言いながら嬉しそーね。」


食べ終わった後、店員さんが持って来てくれたあったかいお茶を飲みながら亜子はそう言う。



「…23時の壁、越えたからね。」


まあ30分だけの延長戦みたいなもんだけど。


言いながら、自分が思わず微笑んでしまったのがわかって急に恥ずかしくなり、隠したいとばかりに湯呑みを顔に近づける。



「もーー、なに?そのレベルでそんな可愛い笑顔できちゃううちのちひろちゃんは本当に天然記念物だわ。」


「おい、馬鹿にしてるじゃん。」


亜子の湯呑みがなんだか日本酒に見えてきた。


結局あの気怠い男の真意は何一つ分からなかったけど。

傍に居られれば居られるほど嬉しい。

もはや1番簡単な恋のこの法則を、私は1人で持て余している。







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