君と私で、恋になるまで
地下鉄を降りればそのまま入り口が繋がっている、アパレル系のテナント数が多い商業ビルをぶらぶらと回る。
「ちひろは、色気放つ感じは絶対無理なので。」
「……そうだね?」
まあとてもその通りだけど、そんな自信満々に言わなくても良いのに。
「まあでもあんたは、顔がなかなかに整ってる。
大丈夫。伸びしろは、まだある。」
「え……ありがとう。」
この女の飴と鞭の攻撃は、レベルが高い。
最後は受験生のような気持ちで聞いてしまった。
そのまま亜子は、エスカレーターで辿り着いたフロアの案内板を眺めつつ、
「だから、やっぱこの辺りのちょっと綺麗めブランドで攻めるのが良いんじゃ…
え、待ってあのワンピース可愛くない?
私、絶対似合うくない?」
「…似合うと思うけど話逸れるの早くない?」
どこのお店へ行くか決めてくれているのかと思ったらそう興奮しながら勝手に足を進める亜子にもはや笑ってしまった。
◻︎
「……私の見立てはまじで天才。
それ着て行ったらあの童貞は、もう大変ね。」
「その呼び方、瀬尾の前でしないでね…?」
えー結構気に入ってんのに、なんて呟きながらパスタを食べている亜子には反省の色が見えない。
買い物を終えた私たちは、そのまま商業ビルのレストラン街にあるイタリアンにやって来た。
「でもさあ、本当に良かったの?服だけで。」
「……な、何が言いたいの。」
「そんな遠慮しなくても、下着も選んであげたのに?」
「…遠慮して無いからほんと、安心して欲しい。」
ドリアをつつきながら不満げに漏らしても、教官は悪い顔して「顔、赤。」と、やはり楽しそうに笑っていた。