君と私で、恋になるまで





◻︎


"…は?もうみんな店に居るけど。"


「だよね…ごめん。でも今日中に終わらせたい仕事できちゃって。」


"……珍しいな。枡川って楽しみな飲み会の時は何としてでも定時上がりするのに。"


「…ね、やらかしたね今日は。

でも、これから何回もできると思うし!
みんなにもそう言ってくれる?ごめんね。」


"…分かった、じゃあ、お疲れ。"


「お疲れさま、」



瀬尾との会話が終わったスマホを持って座ったまま、私は全身に重りがついているかのように全く動けなくなってしまった。


あの後、なんとか腫れた目を駅のトイレで戻して会社に戻った私は、今日言われた言葉が脳内にこびりついていて、仕事なんて全く手につかなかった。



たしかに、香月さんとの打ち合わせ回数は多かった。だけどそれは勿論仕事だからで。


でも、そんなこと今更信じてもらえるのかな。



何より悔しいのは、こんな噂が広まったらうちのプロジェクトメンバーはどう思う?


みんなで必死になって準備して勝ち取ったこの案件が、ただの3年目の女子社員の色恋沙汰で汚されることになるなんて耐えられない。



悔しい、悔しくてたまらない。


「…っ、」


もう誰も残っていないオフィスで、私は涙が止まらなくなった。


私はもうリーダーを降りるべきじゃないのかな。

だってきっと、私がいる限り付き纏う噂だ。




____瀬尾は、なんて思うんだろう。





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