君と私で、恋になるまで
◻︎
「無事に工事も進んでます。」
「本当ですか…!リニューアルなのでどうしても働く皆さんに工事中はご迷惑をおかけしてしまうと思うのですが、ご協力ありがとうございます。」
ガヤガヤと人の声が行き交う店内で、4人席の壁側に座った香月さんはビールを片手にそう笑って報告してくれた。
此処は、私と隣の男がいつも通っている居酒屋では無いけれど、さほど広くは無い店内のテーブル席は全て埋まっていて、人気のお店なんだと分かる。
「保城がその辺り管理しっかりしてますからね。特に社員からの苦情とかも無いですよ。」
「…さすがです。」
「ほんと、僕らもあれで2年目だってこと忘れそうになるんですよね。」
それを言ったら保城は「ふざけんな」って顔してますけどね、と笑う香月さんは本当に彼女を信頼してるのだろうと思う。
「最後まで、よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
なんだかお酒片手に語るには、とても真面目な会話になってしまった。
すると、香月さんは持っていたグラスをそっとテーブルに置いて、さて、と仕切り直しの言葉を告げる。
先程まで会話していた私も、メニューを持っていた瀬尾も、おそらく同じタイミングでそんな彼を見やった。
「……仕事の話は、今日はこれで終わりです。」
「そうですね!とりあえず何か頼みましょう。」
隣の男の手に収まるメニューを隣から覗きつつそう同調すると、香月さんは「絶対聞こうと思ってて」と言葉を繋ぐ。
そして。
「…2人は、いつからお互いが好きだったの?」
後光の射す彼は、穏やかないつもの笑顔でそう爆弾を脈略なく落とした。