君と私で、恋になるまで


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「…ねえ。言って良い?」

「…出来れば言わないでいただけると…?」



「いや言うわ。くっっっっだらな!」

「……。」

結局言うならなんで許可取ろうとしたんだと、ハイボールのグラスを持ったままぐうの音も出ない私を見て正面の女は、鼻で笑った。



「あのさあ。今そんな劇的に後悔すんならちゃんと言えば良かったじゃない。
"飲み会、行かないで♡"って。」

「お、仰る通りで……でもそれ誰のキャラ…?」



今日は、金曜日。

仕事を終えた私と亜子は、前から約束していた通り、会社近くのこじんまりとした居酒屋へ来ている。


顔の暗い私に当然のように気づいていた亜子に問いただされて、あの気怠い男が今日はゼミの飲み会に行ってること、なんだか水曜日のあの後からちょっと(勝手に)気まずいことを話した。


その一連の話を受けた彼女の答えが、先程の言葉だ。

鋭い刃物が心に突き刺さり過ぎて、全然抜けない。めちゃめちゃに痛い。



「……あんたさ、ちょっとショックだったんでしょ。」

「……」


この女は本当に痛いところばかりを突く。

だけど、その言葉にストン、と腑に落ちる感覚もあって。


入社して、あの研修の夜から。

私は本当に馬鹿みたいにずっと、あの気怠い男への気持ちを募らせ続けてきた。


なんでだろう。

別にそんなこと今更気にしなくて良いって分かってるのに。

瀬尾がどれだけ大事にしてくれてるかなんて、理解してるのに。




いつから好きだったかって、あの時の香月さんの質問。

"…そんなの、覚えてない。"



その答えが、少し。

少しだけ、寂しかったなんて。




「…私の好きは、もう相当重いから。」

「重くて何がダメなわけ?軽いより何百倍もマシでしょ。」

「……そうかな。」


あーめんどくさ!なんて眉間に皺を寄せながら枝豆を器用に食べる亜子に力無く笑う。


この教官の言葉には忖度が無いから、刺さりすぎてびっくりする時もあるけど、真っ直ぐに響く時も勿論多い。


「良いじゃん。恋愛したら女はハレンチになるしメンヘラにもなるもんでしょうが。」

「女って大変なんだね。」

「そうよ?
だからたまには女子会して、愚痴とか格好悪い気持ち曝け出して、また恋に走り出せるようにするんじゃない。」


あんた何言ってんの?なんて、本当に軽い口ぶりで言う亜子に笑ってしまう。

それなのに、一緒に涙が出そうになった。


「…亜子、最高だね。」

「は?今更何いってんの?」

私はいつも最高だけど?なんて自信満々に綺麗に笑って、私の取り皿に沢山の枝豆を入れてくる。


その様子に笑っていたら、

「お待たせ!!!!!!!!」


と、元気な大き過ぎる声が私達の隣から聞こえた。













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