君と私で、恋になるまで





スマホのメッセージをきちんと丁寧に自分の中で受け止めた私は、顔を上げた。


「……迎えに、行ってくる。」

「うん。」

「交友関係に口出すのとか、全然大人じゃないし、煩いって思われるのも嫌だし、って思ってたけど。

…でも、心がモヤモヤずっとしてるのも、本当だから。

私の気持ちは実はすっごい重いって、言ってきて、やろうかな。」


顔が真っ赤になってるのは、まだ半分しか飲んでないハイボールのせいでは無いことは私も、目の前でその
台詞に楽しそうに笑う亜子も分かっている。



「…さっきから何の話?」

全く会話を掴み切れていない古淵は、おそらくまだ私とあの気怠い男のことを知らないのだと思う。


「古淵。」

「え、はい。」

「古淵は、瀬尾が好きだよね。」

「え?…ああ、うん、それはもう。」


戸惑う中でも迷いなくそう答える古淵がなんだか可笑しい。
私のライバルは、あらゆる所にいるから大変だ。


「古淵、私もね。」

「え?」

「私も、瀬尾が凄く好きなんだ。」



そう宣言してしまえば、古淵はぽっかーーーんと口を大きく開けて固まる。

「じゃあ、行ってくるね。」と2人に笑って、とりあえずのお金をテーブルに置いて席を立てば、そこから4テンポほど遅れて「ええ!?!?!?」と古淵の素っ頓狂な声が背中に聞こえていた。




◻︎

「…声でか。鈍感な男ねほんと。
あんた瀬尾と本当に仲良いの?」

「え!?あの2人もしかして付き合っている!?!?」

「だからそうだっつってんでしょ。
というかこの広いテーブルで隣に座ってくんのやめて。あんた、ちひろが居た席に行ってよ。」


「え……いま本当に、驚愕の事態に、どどろきおののきしている…」

「馬鹿なんだから普通に"びっくりしてる"って言ってくれる?」


「えーーー…でもそっか、あの2人かあ…

良いな。めっちゃ嬉しいわ。
俺の好きな2人が付き合ってるとか幸福度高いわ!!」

「…あんたくらい素直に気持ち言えたら、人類みんな平和よね。」

「…?じゃあ、島谷にも言っとくわ。凄い好き。」

「それはどうも。」





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