君と私で、恋になるまで




「私、この主演の女優さんすごい好きなんです!映画も観たいと思っていました!」


「本当ですか?それは良かった。たまたまうちのクライアントさんからチケットを貰ったんですが僕はその日、丁度出張が入ってしまっていて。」

「舞台挨拶付きのこんな貴重なチケットいただいてしまっていいんですか…!」

「どうぞどうぞ、そんなに喜んでいただけたらこちらとしても嬉しいです。」

そう言って優しく笑う香月さんはやはり神様なのかもしれない。

手渡されたチケットは2枚で、【○月×日(土)14:45開場】と明記されていた。

「今週末ですね…!2枚もいただいてしまってなんだか恐縮ですが…お言葉に甘えて、同期を誘って行かせていただきますね。」

思いもよらない素敵な予定ができてしまったと小躍りしたくなる気持ちを抑えて、私は香月さんにお礼を述べる。これは亜子も喜ぶなあと思わず微笑みがこぼれた。





すると、彼は優しい笑みのまま


「央は、誘わないんですか?」


と、サラリと爽やかな声色で、爆弾を投下する。



「え!!!」


油断していた私は、人様の会議室で大きい声を発してしまい、咄嗟に口を手で抑えて「すいません、」と呟く。


そんな私の様子を見てクスクスと笑う香月さんに、顔の熱が勢いよく高まっていくのを感じていた。
も、もしかして香月さんに私の気持ちはバレバレなのであろうか。私、そんな分かりやすいんか!?


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