君と私で、恋になるまで
昨日、給湯室にいた私達に話しかけて来た先輩は、
先方との認識の不一致で工事を進める上でトラブルが発生してしまっている案件があるらしい、と告げた。
急いでフロアに戻ると、すでに一部の課の人たちが対応をしている最中で。
_____その中に、瀬尾もいた。
瀬尾は今、私と一緒に香月さんの会社との案件のチームにも入っているが、実力が認められて幾つかのプロジェクトを掛け持ちしている。
険しい顔でパソコンを見つめる瀬尾を暫く見ていたが、その後、私は隣の亜子に声をかけた。
「亜子、明日空いてる?」
亜子は、え、と驚いたような表情を見せ、その後全てを察したように勿論、と笑ってくれた。
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“もしもし、枡川?ごめん、遅くに。今メッセージ見た。“
「全然大丈夫だよ。お疲れ様。メッセージにも書いたけど、香月さんの案件でお願いしていた部分、来週でも大丈夫だから後回しにしてね。」
“ありがと、助かる。“
その日の夜遅く、瀬尾から着信があった。
お礼を伝えてくれるその声が酷く疲労していることが
分かってなんだか胸が苦しくなった。
「もしかしてまだ会社にいるの?」
“あー…うん、でもそろそろ帰れるかな。明日も、多分出勤しないといけないけど。
…あのさ、“
「大丈夫、分かってるよ。明日、香月さんから戴いたものだから流石に私は行かないとって思ってるけど、
亜子が一緒に行ってくれるって。」
“……ごめん。“
どうして瀬尾が謝るの、って明るい声で伝えても、その後も彼の声は元気がなくて私の方が申し訳なくなってしまった。