ずっと一緒に旅をしていたオオカミが魔王だった件

***


「ずっとなんかオカシイと思ってたけど、全部あんたが仕組んでたのね魔王!」
「嘘つけ。さっきまで全然気がついてなかったくせに」
「っ! 首、噛みながら喋るなぁ……っ!」
「あ? あぁ悪い悪い。勇者サマはこっちの方がお好みだったな」
「ゃあ!」

 大きな掌で服の上から胸をわしづかみにされて情けなくも悲鳴が漏れる。頭上で両手を拘束されて豪奢な天蓋付ベッドの中、ろくな抵抗ができない。

「あの時も、それから別のあの時も、全部あんたがブライトの姿で誘導したんだ……っ」
「『あの時』ねぇ。色々有りすぎてどれだかわかんねぇが、それはお前がここを──」
 節だった指がひねる様に先端を摘まみしごく。
「森の中で触手に弄くられてグチャグチャになってるところを魔王に美味しくいただかれた時のことか」

「──!」

「それとも、洞窟にいた服を溶かすスライムに襲われて、素っ裸になったところを魔王が据え膳食った話か。その他もろもろ、どれだろうなぁ?」

「ぜ・ん・ぶ! だああぁぁぁぁぁっっ!!」

 叫びながら蹴り上げた足をパシリと片手で受け止められて、逆に大きく開かされてしまう。

「そんな騒ぐなよ。俺にお前が抱かれんの何回目だよ。どうせ、世間は俺とお前が結婚すりゃ良いって思ってんだからいい加減に素直に抱かれろよ」

 そう。魔王討伐の旅に出て半年。行く先々で魔王と勇者の評判はすこぶる良かった。何故なら魔族は腐りきった王族と貴族たちをほぼ壊滅状態に追いやり、善良な市民には一切手を出さなかったからだ。町の外をうろつく魔物たちも、盗賊や人拐い以外を決して襲わなかった。

 いっそ魔王がこの国を治めてくれた方が自分たちは幸せに暮らせるのではないか。民衆がそう囁くようになった頃、今度は魔物たちがこう触れまわり始める。

『魔王様は何度も勇者と対峙するうちに勇者に心を奪われてしまった。勇者さえ魔王様のものになれば、この国と世界の平和を約束するだろう』

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