ずっと一緒に旅をしていたオオカミが魔王だった件
「あーー……、別にいいだろ。理由なんて」
「い、や! ブライトに何回聞いても私が勇者にされた理由を教えてくれなかった。ブライトがあんただってわかった今、聞かなきゃ私だって絶対言わない……!」
キッと自分を睨む潤んだ翡翠に、魔王はらしくなく言い淀んだ。
「それは……なんだ、その……」
「その?」
「────だろう?」
「はい?」
「お前、罠にかかった狸の子供を逃がしてやったことがあるだろう」
「タヌキ……」
確かに勇者として旅立つ数ヶ月前、ノヴァは猪用の罠にかかっていた子狸を逃がしたことがある。
「あーあるある。逃がした。でもそれが何か?」
「あの時も、お前の村は食糧難で、薬だって貴重なもので。なのにお前は狸を逃がしただけじゃなく怪我の手当てまでしてやった」
「だってあの狸、ちっちゃくて食べるとこあんま無さそうだったんだもん」
「おいっ! そんな理由で逃がしたのかよ?!」
「そうだよ? でもなんであんたがそれを知って…………まさか?」
『その可能性』にノヴァが気づいた瞬間、精悍な男の顔がボッと赤く染まった。
「い、や! ブライトに何回聞いても私が勇者にされた理由を教えてくれなかった。ブライトがあんただってわかった今、聞かなきゃ私だって絶対言わない……!」
キッと自分を睨む潤んだ翡翠に、魔王はらしくなく言い淀んだ。
「それは……なんだ、その……」
「その?」
「────だろう?」
「はい?」
「お前、罠にかかった狸の子供を逃がしてやったことがあるだろう」
「タヌキ……」
確かに勇者として旅立つ数ヶ月前、ノヴァは猪用の罠にかかっていた子狸を逃がしたことがある。
「あーあるある。逃がした。でもそれが何か?」
「あの時も、お前の村は食糧難で、薬だって貴重なもので。なのにお前は狸を逃がしただけじゃなく怪我の手当てまでしてやった」
「だってあの狸、ちっちゃくて食べるとこあんま無さそうだったんだもん」
「おいっ! そんな理由で逃がしたのかよ?!」
「そうだよ? でもなんであんたがそれを知って…………まさか?」
『その可能性』にノヴァが気づいた瞬間、精悍な男の顔がボッと赤く染まった。