泣きたい訳じゃない。
月曜日の朝に初めて地下鉄を利用してオフィスへと向かった。

地下鉄も気を付けて乗れば、便利な移動手段だ。
夜に一人で乗るのは危険だとは言われているので、帰りはオフィスの誰かに送ってもらうことになりそうだけれど。

ロサンゼルスのダウンタウンは高層ビルが立ち並び、常に車が渋滞している。
オフィス街は、男性も女性もスーツを着て歩く人達が多く、通りを足速に行き交っている。

私も今日から暫くは、ここの街の一員だ。

オフィスに到着すると、まだ三日目とは思えない程、メンバーがフレンドリーに迎えてくれる。

基本、オフィスの中では公用語は『英語』になっている。

私の仕事は、日本から送られて来る予約データのホテルとアクティビティの手配をすることだ。
その範囲はロサンゼルスだけでなく、西海岸を広く網羅している。

現地スタッフのケイトさんと担当する事になっている。

「ケイトさん、よろしくお願いします。」

「こちらこそ。私はケイト、あなたはリナでいいわよね。楽しくやりましょうね。」

私は、このオフィスがとても気に入った。
ここでの仕事も生活も楽しめそうな予感でワクワクする。

少し前のウジウジと悩んでいた自分が嘘のようだ。
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