訳アリなの、ごめんなさい
ある晩、兄が部屋にやってきたのだ。

彼は父に叱られてから、義母監視のもと、遅まきながら跡取り教育をうけていた。

遊び人の彼が遊びにいけないことに相当ストレスを溜めていることを知っていたから、会わないように気を付けていたのだが


突然部屋に押し入ってきた彼は、来るなり私の髪を掴むと、無理やり私を壁に叩きつける。

「やれ」

彼が低くそう言うと、開いたドアの隙間から、あの大男が入ってきた。

まずい

そう思った時には、私の手足はその男に素早く縛られていた。

「いい眺めだなぁアーシャ」


床に転がされた私を見た彼はニヤニヤしながら私の頭から足先までを、ゆっくりとながめた。

そして私の頭を乱暴に掴むと

「スカしたお嬢様が芋虫みたいに床に転がされてるのは滑稽だなぁ」

そういって私の髪に口付けたのだ。


そこで初めて、彼がわたしに暴力をふるいにきたのでは無いことを、理解した。

サッと血の気が下がった。


まさか!いくらなんでも!


恐怖で声が出なかった。

そんな私を彼は強引に引き上げて、膝を着かせる。

そうすると、自身は椅子に座り、こちらを見下ろす。

屈辱的な姿だが、この後何が起こるのかわからない私はただただ恐怖に震えていた。



すると彼がゴソゴソと自分の腹のあたりを探り出した。


薄暗い部屋の中、なぜかそれだけが異様にはっきりと見えた気がする。

生まれて初めてみた男性のそれは、当時17の自分には目を伏せたくなるほど、おぞましい物のように感じた。



「なめろ」

「え?」

混乱するわたしに苛立ちながら私の頭を再度強く掴むと、そのおぞましいものに近づけた。

近づいて分かるそのなんとも言えない匂いに吐き気がした。

「あのクソ親父のせいで遊びにも出られなくてたまってんだよ。お前みたいな美人なら抜くだけでも十分だろう!嫌ならいいぜ。お前の中にぶち込んでやるまでだからな!さぁどうする?」

悪魔のように笑った彼が、何を言っているのか、不幸にも花嫁教育を受けていた当時の私には全て理解出来てしまった。

私はその日から彼の欲を満たす玩具になった。
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