訳アリなの、ごめんなさい
「どうした?」

シャワーを終えた彼女がバスルームの前で戸惑ったようにこちらを見ていた。

「その、、目のやり場が」

予想もしていなかった、初心な反応が可愛くて胸が高なった。

なぜ彼女はこんなに可愛いのだ。



今の自分は、彼女がいない間に持ち込んだラフなスラックスに着替え、椅子に両足先を掛けて腕立て伏せをしていたのだ。

もちろん身体の調子をみるために上半身は裸である。


暇があればトレーニングをするのは最早職業病で、宿舎の共有スペースなどでは、同じような格好の暑苦しい男どもがゴロゴロと、隙間を見つけてはトレーニングをしている。

彼女が風呂に入る間にと思って始めたのだが、つい夢中になってしまっていたらしい。

ここ数日忙しさにかまけて、まともにトレーニングを出来ていなかったのもあるのかもしれない。


「つい夢中になっていた」

そう言って、彼女の元に行って濡れ髪を指に絡めると、少し目を逸らして俯いた彼女の顔を覗き込む。


「気にしないで、トレーニングも大切なお仕事だもの」

目を合わようとしない彼女を見て、ムクリといたずら心が芽生えた。


「きゃぁ」

抱き上げて、彼女の身体を横抱きにする。

咄嗟に首に抱きついた彼女は、抗議するようにこちらを見上げた。

「せっかくだから付き合って」

そう言って、彼女を抱き抱えたまま、屈伸運動を始める。

「重いわ!」

「それがいいんだよ。
負荷をかけるには、これくらいが丁度いい」

「そんな!」

閉口する彼女に笑う。

「大丈夫だよ。全然重くない!」


「そんなわけないでしょ!」


絶対重いわ!と困りながらも首にしがみつく彼女が可愛くて。ついそのまま口づける。

あぁやばい、これはクセになる

自分の中でむくむくと欲望が増してくるのが分かった。

切りのいいところでやめにして、そのまま寝台に向かうと、大人しくしていた彼女がモゾモゾと動き出す。

「こうして触れ合えるならトレーニングもしんどくないな」

「役に立てるなら良かった、けど」

首を傾げる彼女をベッドに下ろすと、その頭の横に両手を付いて、彼女を腕のなかに閉じ込める。

「シャワーは?」

「宿舎で済ませてきたよ。どうせこれから汗をかくからな。後からまた一緒に浴びよう?」


何かを言いたげな彼女の口を封じるように口づける。

石鹸と彼女の香りが柔らかく鼻をくすぐった。
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