燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 先生の出勤時、玄関まで見送っていると、

「今日、心療内科の診察でしょ? 一緒に行こうか?」

と先生が言う。


「いいです。近いし一人でいきます」

 私がきっぱりと断ると、先生は少し悲しそうに眉を下げた。

「わかった。でも、何かあれば連絡して。ほら、院内呼び出しアナウンスとか」


 それ、エマージェンシーのやつ!


「私のことで職権乱用したら、私もう、先生と口ききませんから」
「……え」

 先生の表情が曇る。
 っていうか、本気でするつもりだったんじゃないでしょうね!

 私が睨むと、先生はやっと諦めたようにため息をついて、いってきます、と行ってしまった。

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