燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

「ほんと、結婚してから、天馬先生って過保護ですよ……」
「それよりずっと前じゃない?」
「……え?」
「天馬先生って、どこからどう見ても、つばめちゃんのこと好きだったでしょ。婚約も自分でねじ込んだって」

 私は思わず言葉に詰まる。
 確かにそんなことを先生は言っていた。

 でも、こうやって周りにいた人から同じことを聞くと、みんな知っていたのだと恥ずかしくなる。しかも野中さんはベテランと言えど、天馬先生の外科ではなく心療内科の看護師だ。

 天馬先生、どれだけわかりやすいんだ!
 ど・れ・だ・け!


「わ、私は全然知りませんでしたけど」
「先生って器用なんだか不器用なんだか……。看護師の間ではなんて言われてるか知ってる?」
「え?」

「好きな人にだけ残念なイケメン」

 そう言われて私は、ぶ、と吹き出す。

「まぁ、完璧すぎるのもどうかと思うし、そう言う人間ポイところがあるからこそ接しやすいんだけどね」

 そう言って、野中さんは軽快に笑った後、じゃ、あとでね、と行ってしまった。



 先生は、忘れている3か月間だけでなく、昔から私のこと好きでいてくれたんだ。
 そう思うと、やけに胸が暖かくなる。

 先生は私のことを見て、私を好きになってくれてた。
 いつの間にか、自分の顔が緩んでいることに気づいた。


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