燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 そうだ、私は木から降りられなくなった猫を助けようと木登りした。
 助けたところで、猫は自分で降りてしまった。そして次はあたしが降りられなくなったというわけだ。

 どうしようかと考えあぐねていたところで、ちょうど学校帰りらしい拓海が通った。
 あたしは、ピンときた。この人は、きっと助けてくれる。

 だからあたしは、『たすけて』って声をかけて、振り向いた拓海に飛び込んだ。
 拓海は驚いて目を見開いて、あたしをキャッチしたら自分は尻もちをついちゃったんだ。


 そしてそのあと、怒るかと思ったら拓海は笑った。
 その笑顔に、あたしは……初めての一目ぼれをした。

 だから覚えてた。
 あたしは覚えてた。

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