燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 あたしがそう言うと、工藤先生は突然真剣な顔をして、まっすぐあたしを見る。

「前にも言ったけど、どちらもちゃんとつばめさんだよ」

 それはそうだけど。
 でも……。


「でも、『つばめちゃん』は、拓海のこと好きじゃない」
「気づいていなかっただけだよ。つばめさんはいつも病院を通してしか天馬を見てなかったから」

 はっきりそう言われて、あたしは言葉に詰まる。
 すると優しい笑顔に戻った工藤先生は、


「人の気持ちって不思議なんだ。自覚してるかしているか、いないかで変わるんだよ」


と言った。「きみは『つばめちゃん』。『つばめちゃん』はきみだ」


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