燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 分かってる。分かってるの。
 でも違うの。

 うまく言葉にできないけど……。



 あたしが下を向くと、

「そういえば、再来週天馬休みとれるってね?」

と工藤先生が言った。
 あたしはぱっと顔を上げる。


「そうなの! 拓海が旅行行こうって!」


 そう、旅行がある。

 あたしと拓海のはじめての旅行。
 あれ? これって、もしかして新婚旅行?

 自然と頬が緩む。


「そっか、いいなぁ」
 工藤先生は笑った。

「行き先、どこがいいかなぁ。今色々調べてるの! どう思う?」
「そうだな、まぁ、天馬はかなりハードスケジュールだから……温泉でゆっくりとか、いいかもね?」
「温泉かぁ。うん、いいかも!」

 あたしは頷く。「工藤先生、ありがとう」

 あたしが言うと、工藤先生は、じゃ、また今度は旅行のこと教えて、と笑った。


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