燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 あたしは診察室から出たところで、どん、と大きな人にぶつかってしまった。

 相手の硬い強靭な肉体に、あたしの鼻はしっかり凹んだかも!
 そう思って鼻を抑えながら、相手を見上げる。


「……? 熊?」


 なぜ、病院の中に熊が……。
 そう思ったけど、スーツを着た、すごく大きな男の人だった。

 190センチくらいある?
 その人は、私に気付かなかったのか、そのまま、どこかへふっと速足で歩き去ってしまった。


 大きすぎると、ぶつかっても気づかないものなのかな……。
 そんなことを思っていると、ふと頭の中に変な映像が流れこんできた。


「あ、あれ?」

 あたしは目を瞑る。
 そしたら、クラクラして、まっすぐ立っていられなくなる。

 やばいと思って、近くにあった椅子に座ろうとしたけど、うまくいかなくて、その場に屈みこむ形になった。


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