燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 次に目が覚めたときには、内科の診察室にいた。

「つばめちゃん!」

 目の前の麗子先生が、あたしを抱きしめる。
 麗子先生の後ろには大熊さんが立っていた。


「……麗子先生。大熊さん?」
「大熊さんに倒れたって連絡もらって。だからさっき無理しないでって言ったじゃない」
「……拓海は? 言ってない?」
「天馬はオペに入ってたし……。とにかく、あまり大げさにしないほうがいいと思って言ってない」


 麗子先生が目を伏せる。
 あたしはそれを見て、そして自分の手に目を落とした。

 うん、あたしの手。25歳のあたしの手だ。


「つばめちゃん?」
「よかった……。まだ、あたしでいられてる」
「え?」
「本当によかった」

 あたしは不安だった。
 すっごくショックだったけど……それ以上に不安だった。

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