燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 やっと旅行の日がきて、あたしは拓海の運転する車の助手席に乗った。
 拓海とは、車の中で、あたしがテレビで見たドラマの話なんかして、今までのことには二人とも触れなかった。

 でもその時のあたしは一つ、
 心に決めていたことがあった。



 部屋に案内され、仲居さんが浴衣を持ってきてくれる。
 あたしは牡丹柄を選んで着てみせると、自分も紺の浴衣に着替えた拓海は嬉しそうに目を細めて笑う。


 その笑顔にあたしの心は、きゅう、と掴まれる。


 やっぱり、拓海に触れたい。
 拓海に触れられたい。


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