燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


「配慮の足りなかったこちらの責任だ」

 そう言われて、大熊さんに頭を下げられた。「天馬とは……小中とサッカークラブの仲間なんだ。天馬が俺の後輩だった」

「そうだったんですね」
「俺自身も、初めて見たよ。あいつはサッカーでもあまり熱くならないタイプだったし」
「……ですよね」


 たしかに、天馬は学校の部活とは別に、地域のサッカークラブに所属していたはずだ。
 うまかったと人から聞いたが、あっさりやめた。そういうところは天馬らしいと思った。

 彼が必死になるほどの態度は今まで見たことなかった。
 初めて必死になったのを見たのが、『つばめちゃん』だったように思う。

 『病院長室の中心で愛を叫ぶ』くらいには。


 私はそれを思い出して少し笑った。
 大熊さんの低い声を聞いてると、少し気持ちが落ち着いてきたのもあった。

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