燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 僕は彼女に向き合っていた。
 彼女を大事にしていた。

 そう思っていた。



 その日の帰り、なんとなく旅行のパンフレットを見ていた。

 次の日、休みの申請を出してみると、案外あっさり受け入れてもらえた。
 そのとき、外科も救急も、クラークまでもみんなが、『天馬先生が休み申請するの待ってたんですから。たまにはつばめちゃんとゆっくりしてきてください』と言って笑ったのだ。


 あぁ、そうか。

 工藤や一条だけでなく、考えてみれば他のスタッフだって全員が、
 こうやって僕らのことを心配していてくれたのか……。



 つばめと暮らし始めてから、オンコールも減ったし、
 新しい先生も増えた。

 自分だけがつばめに対して守っている気になっていたけど、
 ちがったのかもしれない。

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