神様に人の不幸を願ったら、運命の相手を紹介されました
「……え?」

思わず、男へ視線を向ける。
だって、非難されるとばかり思っていたから。

「さっきのあれで、だいたいの事情はわかる。
大方、友人だと思っていた花嫁に花婿を寝取られた、ってとこだろ」

ふふっ、と小さく笑い、彼はコーヒーをぐいっと飲んだ。

「……ハイ、ソウデス」

「それでよく、あそこまで我慢していたな。
偉い、偉い」

彼が子供をあやすように、私のあたまを柔らかくくしゃくしゃと撫でる。
その優しい手で、唐突に涙がぽろりと転がり落ちた。
彼に別れを告げられても、泣けなかったのに。

「えっ、あっ」

泣いているのを見られたくなくて、慌てて涙を拭う。
けれどそれは、一向に止まる気配がない。

「うっ、ふぇっ」

「……」

私が泣いている間、彼は黙ってコーヒーを飲んでいた。
隣に、誰かいてくれる。
ひとりじゃ、ない。
それが心地よくて、安心できて、涙はいつのまにか止まっていた。

「……その。
ありがとう、ございます」

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