神様に人の不幸を願ったら、運命の相手を紹介されました
最後にすん、と鼻を啜り、泣き腫らした目で彼を見上げる。
レンズ越しに目のあった彼は目尻を下げ、ふんわりと笑った。
その顔に。

――心臓が一度、とくんと甘く鼓動した。

「いや、いい」

私のあたまを軽くぽんぽんし、彼が立ち上がる。

「彼女たちのことは酒でも飲んで、もう忘れろ」

「そう、します」

「じゃあ」

手を振りながら去っていく彼の背中へ、深々とあたまを下げた。
見えなくなってペットボトルを開け、泣いて渇いた喉へ紅茶を流し込む。

「空が、青いな」

けれどもう、さっきのような憎さはない。
私のつらい気持ちを全部、吸い取ってくれた気がした。

帰りにコンビニへ寄り、缶酎ハイとつまみを買う。
お金を払おうとして、今朝引いたおみくじを見つけた。

「えっと。
なになに」

家に着いて、おみくじを開いて見る。
あの彼のおかげで、大凶でも耐えられそうなほど、メンタルは回復していた。

「大吉!
やった!」

これでいままでの不幸は帳消し? なんて嬉しいのに、さらに。

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