捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
エレベーター前まで見送りに来ると、秘書と一緒にエレベーターに乗り込む東和社長に少しだけ視線を向けてしまった。それがいけなかった。
視線が交わったまま、エレベーターのドアが閉まって行くときの、見知った瞳の輝きを見てしまった。
驚いて目を見開いた私が最後に見たのは、そんな私を見てニヤリと笑った東和社長の表情だった。直感的に感じたのは″怒っている“ただそれだけだった。
急激に冷たくなった手足が、昔の弱い自分を思い出して血の気がひくのが解る。
呆然としながら専務室に戻ると、心配そうな声が聞こえてくるも、私は放心状態だった。
「立花、大丈夫か?」
その声も遠くから聞こえ、私はただ呆然と立ち尽くしていた。
「もう帰れ」
「え?」
専務のその言葉にようやく私は我に返り、反射的に専務を仰ぎ見た。
「そんな訳にはいきません」
小さく答えた私に、専務はため息を付くと応接室のソファーへと私を深く座らせる。