捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「紗耶香、なるべく早く家を手配するから引越しの準備をしておけよ」
サラリと何も思っていなさそうに言われ、祥吾さんに苛立ちが募る。
「どういうつもり」
自分でも思った以上に低い声が出た気がしたが、私は足を止めて祥吾さんの背中を睨みつける。その瞬間、祥吾さんが振り返る。
「それはこっちのセリフだ」
明らかに今までとは違う、はっきりと怒りをあらわにした表情に私はビクリと肩を揺らす。
「どういう……意味?」
「どうして瑠偉のことを黙っていた」
それをあなたが聞くの? 遊びの女に結婚間近に妊娠したと伝えられたかったとでもいうのだろうか?
「どうしてって自分に聞いたら?」
自虐的な気持ちで、泣きたくなるのを耐えつつ睨みつければ祥吾さんが驚いたように目を見開いた。
「お前、変わったな。そんな目をするような女じゃなかった」
嘲笑うように言われ、私ももう今までの憎しみが止まらなかった。