捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「それでは失礼いたします。瑠偉、またすぐに会おうな」
少し寂しそうな瑠偉の頭をポンと叩くと、祥吾さんは柔らかな笑みを浮かべる。

それは私が見ていた笑顔で、私の頭は混乱する。それも演技なのだろうか?
この人のことをわかっていたつもりだったが、今はもう全く分からない。
本音を見せない人だとは思っていたが、昔もまったくわかっていなかったのかもしれない。
そんなところを少しは理解している。そう思っていたのは私の独りよがりだったのだろうか。

「紗耶香、道がわからなから途中まで送ってくれる?」
わざとらしく聞こえた彼の声に、私は何かを言いたかったが、すぐに父の声が聞こえてうんざりする。
「ああ、紗耶香送って差し上げなさい」

ここまで迷わず来た人が帰り道が解らないなどあり得ないし、地図アプリだってなんだってあるだろう。
そうは思うも、私も話をしておかなければいけないと呆めて靴を履き祥吾さんと家を出た。
< 99 / 251 >

この作品をシェア

pagetop