捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
それからの展開は思った以上に早かった。

逃げるつもりなどないのに祥吾さんはすぐに婚姻届けを書かせると籍をいれてしまった。

私に至っては、役所にも行っていない。

小さいころ思い描いた結婚式も、新婚旅行もとうにあきらめていたが、いざ本当に結婚をしたとなれば、むなしいだけだ。

そんな私をよそに祥吾さんはあっという間に実家近くの一戸建てを借りてきた。
よくこんな物件が賃貸であったと思ったが、祥吾さん知り合いが海外出張に行っている間、空いていた家だそうだ。期限付きのようだが、その方が私としては安心だった。

こんな結婚生活が長続きするはずがない。瑠偉を奪い合う私たちが妥協したとりあえずの結婚なのだから。

跡取り欲しさの祥吾さんに、大切な瑠偉を渡すわけには行かない。

引っ越し当日、両親に笑顔を振りまく祥吾さんに、私はため息をつきたいのを抑えながら実家を後にした。
< 102 / 251 >

この作品をシェア

pagetop