捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
そう思いながら、私はキッチンへと向かった。
買い物にいかなければ夕飯は食べられないと思っていたが、冷蔵庫をあければいっぱいの食材が入っていた。
「秘書に頼んで入れさせたから、好きに使えよ」
瑠偉がいるせいか、柔らかな言葉遣いだったが、私は素直に答えられず無言で中を確認する。
“秘書に頼んだ“その言葉に少しの苛立ちを感じてしまう。
勘違いとは言え、私には専務と別れるように言っておいて、自分は愛人でもいるのだろう。
あの綺麗な秘書の女性の姿が頭をよぎる。
そんなことを考えてしまい、私は慌ててその思考を追い出す。
「瑠偉、今日ハンバーグでいい?」
ひき肉が入っているのを見て、私は瑠偉だけに言葉をかける。子供ぽいと思いつつも、どうしても祥吾さんに聞く気にはなれなかった。
「うん、ママのはんばーぐだいすき」
嬉しそうに返事をする瑠偉に、私も笑顔を向ける。
「チーズも入れる?」
「うん」
瑠偉と遊んでいた祥吾さんは何も言わない。
しかし、こんなに子煩悩になるとは思っていなかった。″子供なんて嫌い”そういうタイプの人だと決めてかかっていた。