捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
こんな状態で結婚した意味があるのかわからないが、とりあえず瑠偉は目の前の夕食にくぎ付けで私たちの不穏な空気は気づいていない。
ため息を耐えつつ、祥吾さんの前にも白いお皿に乗せたハンバーグとサラダ、冷蔵庫に冷やされていたビールとグラスを置く。
「ありがとう」
ただ零れ落ちてしまったようで、祥吾さんはハッとした表情を浮かべるも瑠偉に視線を向ける。
「瑠偉、ママの料理おいしそうだな」
私ではなく瑠偉に話しかけているが、おいしそうと思ってくれたなら一安心だ。
複雑な気持ちを持ちつつ、久しぶりの手料理を食べる祥吾さんの反応を盗みみてしまうのは仕方がないのかもしれない。
なんだかんだと瑠偉を挟んで、楽しい食卓を過ごしてしまった気がする。
お互いが会話をすることはなくても、瑠偉に話しかけられれば答えるし、傍から見れば幸せな家族の風景に見えるだろう。
それに何より瑠偉も楽しそうにしていた。
保育園でパパの話をしたとか、どこかのパパがとか今まで会話に出てこなかった単語が聞こえてくる。
子供ながらに、知らないことを言わなかったのかもしれない。