捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「瑠偉!」
思った以上に、こんなに自分の息子はかわいいものだと知らなかった。
俺は慌てて廊下に出ると、ハタと足を止める。
紗耶香が連れて行った。普通に考えればすぐにわかることだが、俺はいろいろな事に動揺してまともな思考回路が働いていなかった。

ゆっくりと音を立てないように、紗耶香の寝室へと足を踏み入れる。
瑠偉の無事を確かめるだけだ。
そう言い聞かせて、ベッドのそばに近寄れば、ギュッと瑠偉を抱きしめて眠る紗耶香の横顔が見える。
メイクをしていなければ、昔のままの紗耶香。泣いていたのだろう目元には涙がたまっている。

俺はそれをそっと無意識に拭っていた。


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