捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「おはよう」
瑠偉の手前もあるのだろう、驚いたまま視線を合わすことなく言葉を発する。
「瑠偉は保育園だろ? 瑠偉を送ったあとに紗耶香も会社へ送って行く」
「え? 大丈夫」
すぐに断られるも、俺は昨日のことを聞かなければと少し強引に話を進める。
「瑠偉の保育園を見ておきたい」
そう言えば紗耶香が断れないのが解っているのに、そのセリフを言う俺は卑怯かもしれなない。
「わかった。祥吾さんの朝食も用意するから瑠偉と食べて」
もう食べ終わっていたのだろう、紗耶香は自分の食器を持ってキッチンへ行くと、料理を始めた。
俺も瑠偉の横に座ると、嬉しそうな顔で瑠偉が俺に話しかける。
「パパがおくってくれるの?」
「ああ、ママと三人で行こうな」
「うん」
瑠偉だけは俺を好意的に受け入れてくれていることに、安堵しつつキッチンの紗耶香に視線を向ける。